


監督・脚本
高橋玄
太陽系第九惑星、冥王星。
現在、人類の探査機が唯一、到達していない太陽系最遠の、この惑星の衛星が「カロン(Charon)」です。
ギリシャ神話に登場する、三途の川の渡し守、つまり、死後の世界への警備員といった意味の名前がつけられた衛星です。カロンは、私たちの住む地球と違い、自転周期が6・387日。
地球における1日が、カロンでは約1週間の時間となるのです。
さて、こんな話から皆さんは、なにを想像するでしょうか。
切迫する日常の経済、卑近な人間関係の煩雑、世界に視野を広げても止まない紛争と病理の社会が私たちを取り囲む中で、太陽系で最も遠い星についての話など、誰が耳を傾けるでしょうか。
しかし、カロンの存在は「希望」や「未来」といった漠然とした言葉がイメージする世界に非常に似ています。
生きる希望や輝ける未来は、カロンのように、私たちから常に遠い場所にあり、
いまはまだ見えないイメージの世界です。
それでも、人間はそれを見ようとし、または、そこへ辿り着こうとしながら地上の世界を生きているのです。
この映画『CHARON(カロン)』は、カロンという冥王星の衛星をキーワードに、
ひとりの娼婦を見守る作家とギャングの心の旅を通して、生きる大切さを問う
「心に優しいフィルム・ノワール」です。
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